ある事情を解き明かす為の実験または考察 4

「確かに、兄さんの言う通り、人々には、そういう所もあるやもしれません。けれども、僕は愛に溢れる部分も信じてはいるのです」

「もっともだ。だからこそ、あのお方も人類最初の殺人を人間が犯した後、奇跡の証である方の胤を新たに人類にお与えになった」

「ええ」

「それから、何千年と時が経った。途中、塔の崩壊や箱舟なども経験しながら近しいところでは、神の都の崩壊。あれはひどかった。それからは、世界中が、ひどいことのオンパレードさ。人類は、根本がわかっていないのだ。真実本当に、大切なのは、ヘビとあのお方との約束だ。ここが、最も、重要なカギなのだが、ここが、謎に包まれている。ここから、全ては始まっているのにね。人々が奇跡を未だ待ち望む理由は、ここに或るんだ。君、わかるかね?」

「いいえ。まだ」

「そうだろう。僕にも未だに理解ができていない。君が弟で良かったよ。また、話そうじゃないか。近いうちに。僕は、本当にもう、これから、酒場へいかないといけない。彼女が待ってるんでね。君もあのじいさんの待つ寺院へおかえり」

「今度はいつ会えますか?」

「君が望むならいつでも。愛しているよアーチャ」

 

                            つづく

 

過去作は、こちらに遺します。https://note.com/ofjt27