「兄さん、何を言っているんですか?」
そう尋ねた彼は、あまりにも純粋無垢だった。
「まだ、解らないかね。いや、解らなくて良いんだが、要約すると、こういうことだ。
人間とは、何か。何者か。
自分は、何を求めて生きているのか。
時には、神を求めてみたくもなる。けれども、目の前に神は居ない。まして、神の名さえ、知らぬ。
百歩譲って、俺が、神の全てを知ったとしよう。だが、次にある俺は、神を待つより、奇跡を待っているんだ。悪魔が、俺のすぐ側にいることも承知でね。」
「どういうことですか?」
「例えば、夫の無い未亡人がいたとする。その婦人には、一人娘が居た」
つづく
以下に、小話を残します。今のところこことここだけに。
過去作は、こちらに遺します。https://note.com/ofjt27